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間中 光雄
JNC TN8400 2000-012, 33 Pages, 2000/04
処分場周辺の酸化還元状態は人工バリアシステムの性能に影響をあたえると考えられる。とりわけ、圧縮ベントナイトの空隙に存在する酸素は処分場周辺の酸化還元状態に強く作用するだろう。酸素の影響を評価するために、圧縮ベントナイト中の酸素の輸送パラメータおよび酸素の消費プロセスを知らなければならない。そこで、つぎの研究が実施された。圧縮ベントナイト中の溶存酸素(DO)の拡散を理解し、かつ、溶存酸素の影響を見積もるために、電気化学的手法を用いて圧縮Na型ベントナイト中を拡散する溶存酸素の実効酸素の実効拡散係数(De)を求めた。その結果、ベントナイトの乾燥密度と溶存酸素の実効拡散係数はつぎのような関係にあることが分かった。De=1.53+-0.1310-9exp(-2.15+-0.2410-3p)Deは溶存酸素の実効拡散係数(m2s-1)、pはベントナイトの乾燥密度(kgm-3)である。ベントナイトの空隙に存在する酸素は、ベントナイトに含まれる不純物の黄鉄鉱の酸化反応によって消費されると期待されている。この考えを確かめるために、圧縮Na型ベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度が本研究で得た溶存酸素の実効拡散係数を用いて黄鉄鉱-ベントナイト系の実験データから見積もられた。乾燥密度0.8および0.9、1.0、1.1、1.210 3kgm-3のベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度定数は、それぞれ1.38+-0.3210-8、1.10+-0.2410-8、1.16+-0.3510-8、9.36+-2.2310-9、7.48+-1.9210-9ms-1であった。圧縮ベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度定数(k')は圧縮ベントナイトの乾燥密度(p)とつぎのような関係があることが示された。K1=3.94+-1.0610-8exp(-1.33+-0.2810-3p)しかるに、炭酸溶液(初期pH=9.24)中のそれは1.46+-0.0910-9ms-1であった。DOと反応した黄鉄鉱の表面には、溶液のpHに依存しながら酸化層が形成する。形成した酸化層は黄鉄鉱内部への酸素の拡散を阻止することが考えられる。酸化反応によって形成した生成物を知ることは重要となる。そこで、レーザーラマン分光法を用いて実験前後の黄鉄鉱表面を分析した。その結果、黄鉄鉱表面に形成した酸化物は
三木 崇史*; 笹本 広; 千葉 保*; 稲垣 学*; 油井 三和
JNC TN8400 2000-007, 32 Pages, 2000/01
本資料では、ニアフィールド母岩や緩衝材中の酸化還元状態を評価する上で重要と考えられる地球化学反応について文献調査をもとに整理した。以下に調査の結果をまとめる。・酸化還元反応に寄与する物質としては、岩石中に含まれる二価鉄を含む鉱物や有機物が重要である。特に、黄鉄鉱は、溶存酸素との反応が比較的速いため、処分場閉鎖後初期の段階では、酸素は黄鉄鉱により消費されると考えられる。・還元性物質による還元能力は、室内での岩石(鉱物)-水反応をもとに、定量的な評価が可能である。なお、二価鉄の含有量が多く、空隙率の大きいほど、岩石の有する還元能が大きいことが期待されている。・還元性物質による溶存酸素の消費速度についても、二価鉄を含む主要な鉱物について、実験的に求められている。また、溶液中に溶解した二価鉄イオンと溶存酸素との反応に関する速度式や速度定数も求められている。 従って、これらの既存の文献でまとめられているデータを用いることにより、坑道掘削に伴い変化するニアフィールド母岩や緩衝材中の地球化学的状態を速度論的に検討することが可能であると考えられる。
Arthur, R. C,*; Savage, D.*; 笹本 広; 柴田 雅博; 油井 三和
JNC TN8400 2000-005, 61 Pages, 2000/01
本報告書では、長石、層状珪酸塩、沸石、酸化物、輝石、角閃石に対する34種類の水和反応を対象に速度定数、反応次数、活性化エネルギーを含む速度論データを収集・整理した。また、同様に方解石と黄鉄鉱に対する速度論データも収集・整理した。これらのデータは、地球化学コードであるEQ3/6やGWBで用いられている表面反応支配・遷移状態理論に則した速度則に適合する。上述した水和反応の速度論データは、厳密には、平衡状態からかけ離れた非平衡状態における遷移状態速度則に適合するものである。これらのデータは、平衡状態からかけ離れた非平衡状態および平衡状態に近い状態における速度則にも概念的には適合するものであるが、その妥当性は、元文献の実験結果の解析を通じて可能な限り確認されるべきである。鉱物-水反応に関する速度論データの適用性の限界を考慮し、地下水水質形成の地球化学モデルの評価を単純化する上で、可能な場合、部分平衡を仮定することは有効な方法である。部分平衡の仮定が妥当であるかどうか評価するため、部分平衡の空間的、時間的スケールを評価するために用いられる水理および水-岩石反応を結合したモデル化手法について記述した。この様なモデル化手法は、釜石原位置試験場における割れ目中での地下水流れを含む条件に対して適用され、また、酸化性の地表水が結晶質岩における高レベル放射性廃棄物の処分深度にまで達するのに要する時間を評価するためにも用いられた。部分平衡が妥当な仮定であるかどうかといった疑問に対しては、適切なモデル化手法をもとに検討されるべきである。上述したモデル化手法を用いて、釜石サイトでの条件に適用するためには、割れ目充填部は多孔質媒体に近似でき、地下水の流れは単なる移流のみであり、母岩マトリクス方向への拡散は生じないことになる。さらに、平衡状態に達するまでの距離と同じか、それよりも長い距離に渡って、割れ目の鉱物学的特性や物理学的特性が均一でなければならない。もしこの様な条件下において、以下の状態であるならば、釜石サイトにおける地下水水質形成モデルにおいて部分平衡を仮定することが妥当であると推測される。・方解石、濁沸石(その溶解・沈殿挙動が輝沸石に類似すると仮定)、濁沸石、葡萄石、(石英は含まない)・ダルシー流速は比較的小さい(たとえば、約0.1myr-1)・平衡状態に関する不確実性として、飽和指数で+-0.4を誤差 ...
笹本 広; 油井 三和; Randolph C Arthu*
JNC TN8400 99-074, 84 Pages, 1999/12
東濃鉱山における原位置試験は、主に第三紀堆積岩を対象として行われている。新第三紀堆積岩中の地下水の地球化学的調査により、主に以下の点が明らかになった。地下水の起源は、降水である。深部の地下水は、還元性である。第三紀堆積岩下部の地下水は、14C年代測定から、13,000年15,000年程度の年代が推定される比較的古い地下水である。比較的浅部の地下水はCa-Na-HCO3型であるが、より深部になるとNa-HCO3型になるような深度方向での水質タイプの変化が認められる。上記の様な地球化学的特性を示す東濃鉱山の第三紀堆積岩中の地下水に関して、地下水の起源と地下水-岩石反応の進展を考慮した地球化学平衡モデルをもとに、地下水水質のモデル化を試みた。その結果、土壌中での炭酸分圧の値、岩体中での以下の鉱物を平衡と仮定することで地下水のpH、Ehおよび主要イオン(Si, Na, Ca, K, Al, 炭酸および硫酸)濃度について、実測値をほぼ近似することができた。・土壌中での炭酸分圧: logPco2 = -1.0・岩体中での平衡鉱物:玉随(Si濃度)、アルバイト(Na濃度), カオリナイト(Al濃度), 方解石(Caおよび炭酸濃度), 白雲母(K濃度), 黄鉄鉱(硫酸濃度、Eh)しかしながら、東濃サイトの地質情報は、地下水水質形成モデルを構築する上で必ずしも十分であるとは言えない。特に、より詳細な鉱物データ(たとえば、斜長石、粘土鉱物や沸石に関する詳細なデータなど)は、モデルを改良する上で必要である。したがって、モデルの中で考慮する主要な反応については、再検討する必要があるかもしれない。本報告書では、代替モデルの一つとして、室内での岩石-水反応試験結果をもとにイオン交換平衡定数を求め、イオン交換反応を考慮した地下水水質のモデル化も試みた。しかしながら、イオン交換反応を考慮したモデルについては、今後さらに検討を要する。
磯部 博志
原子力バックエンド研究, 5(1), p.67 - 72, 1998/08
アクチノイド元素には、酸化還元環境によって異なる挙動を示すものがある。ウランは、酸化条件では6価となり高い溶解度を持つが、還元条件では4価となって溶解度は非常に低くなる。オーストラリア、クンガラ鉱床では一次鉱床と二次鉱床の間に酸化還元境界である遷移帯が存在する。そこでは、グラファイトや硫化鉱物が酸化還元状態に影響を与えている。遷移帯の試料を走査電子顕微鏡で観察した結果、黄鉄鉱の周囲やグラファイトと共存する脈の中に4価のウランを含む球状のウラニナイトやコフィナイトが観察された。これは、強い固定機構である還元による鉱物化が起こっていることの実例である。地下水データなどから計算すると、水中のウラニルイオンがすべて還元によって固定されている可能性がある。放射性廃棄物の地層処分においても、還元性の鉱物を含む緩衝材などによって、アクチノイド元素の鉱物化が起きる可能性がある。
大木 洋*; 林 謙一郎*
PNC TJ1601 98-001, 138 Pages, 1998/02
高レベル放射性廃棄物地層中処分計画において,処分場の長期安定性を証明するため,過去3年にわたり研究を実施した。この研究は,岩石中の還元剤と溶存酸素との反応速度の実験的研究,天然地下水の化学組成の解明およびアクチノイド元素が20億年保存された理由の解明の3グループにより行われた。本報告では,このグループの結論を示した。それは,深部地下水を還元的に保持する役割は,主として黄鉄鉱よってなされる,ということである。地表面のたかさが海抜300m以上で,地下500m以深に設置された処分場は,特別のことがない限り100万年以上にわたり安定であるとの予測ができた。
大本 洋*
PNC TJ1601 97-003, 83 Pages, 1997/03
本委託研究は、高レベル放射性廃棄物地層処分に際し、処分場の化学的環境を還元的に保持するために重要な役割を果たすと考えられる黄鉄鉱、含鉄珪酸塩鉱物及び有機物と水溶液中の溶存酸素との反応のメカニズムと速度を明らかにすることを目的とする。初年度及び今年度行なった黄鉄鉱と溶存酸素の反応実験から、黄鉄鉱の酸化反応経路は半導体的性質の相違により異なることが明らかとなり、種々の条件下における速度定数を求めた。天然条件における黄鉄鉱と酸素の反応は、二価の鉄を含む鉱物及び有機物との相互反応により影響されることが考えられる。代表的な含鉄珪酸塩鉱物であるオリビンの酸化反応実験を行った結果、無機酸と有機酸では酸化反応のメカニズムが異なることが明らかとなった。さらに天然の有機酸として代表的なフミン酸と溶存酸素の反応実験を行い、反応速度を推定した。地層中の還元性物質としては、黄鉄鉱が最も重要であり、それに従い有機物さらに含鉄珪酸塩鉱物が重要となることが明らかとなった。黄鉄鉱が含鉄珪酸塩鉱物あるいはフミン酸と共存する場合、黄鉄鉱の表面が常に新鮮に保たれ、結果として黄鉄鉱と地下水中の溶存酸素との反応が長期間安定に継続する可能性が示された。
大本 洋*
PNC TJ1601 96-002, 65 Pages, 1996/03
本委託研究は、高レベル廃棄物地層処分の化学的環境を還元的に保持するために、重要な役割を果たすと考えられる黄鉄鉱および有機物と水溶液の溶存酸素との反応速度とメカニズムを明らかにする、ことを目的とする。3ケ年計画の初年度においては、黄鉄鉱と溶存酸素の反応を、単結晶表面観察法および溶液組成分析法を用い、実験的に検討した。その結果、黄鉄鉱の酸化反応はp型、n型、中間型の半導体性質の相違により、反応速度も反応メカニズムも顕著な違いがあることが判明した。さらに、天然の有機酸として代表的な酢酸およびフミン酸と溶存酸素の反応実験、さらに黄鉄鉱と有機物を多量に含む海洋堆積物と溶存酸素の反応実験を行った。その結果、フミン酸と酸素および海洋堆積物と酸素の反応速度は非常に速いことが明らかとなった。またシナリオ評価の背景情報の一つとして、地球化学的環境の長期的変遷についてのこれまでの知見をまとめる。Eh、pHおよび溶存酸素量の時間的変化から、複雑な反応メカニズムが推察される。またシナリオ評価の背景情報の一つとして、地球化学的環境、特に地表温度と大気のCO2とO2量の長期的変遷について新しい知見をまとめた。
田中 晧*
PNC TJ1211 95-007, 117 Pages, 1995/02
地下水生成モデルの研究において必要な鉱物の溶解速度について研究を行った。成果概要を以下にまとめる。1.鉱物の溶解速度データの調査溶解速度データが整備されていない黄鉄鉱、緑泥石、緑簾石、菱鉄鉱の4種類の鉱物についてDIALOGによる文献調査を実施した。成果の概要を以下にまとめる。(1)黄鉄鉱Linらにより、酸素濃度による反応速度定数kが定義されている。1-(1-x)1/3=k[O2]1/2・t(x:反応したFeSのモル数、[O2]:溶存酸素酸素濃度、t:時間)また、その温度依存性についてk-=2.2109exp(-9140/T)を示している。pHによる影響についてはCiminelliらにより、溶解中性アルカリ性で黄鉄鉱の溶解速度はpHとほぼ線型に増加することが示されている。(2)緑泥石Swoboda-Colbergらにより、2.76.710-12mol/m2/s(pH34.5)の値が示されている。また、Rossらにより溶解反応のメカニズムは拡散律速であり、陽イオンの溶解量に化学量論的な関係があることが示されている。(3)緑簾石Roseにより、pH111において10-1410-13mol/cm2/sの値が示されている。(4)菱鉄鉱Greenbergらにより:脱酸素水中において9.9310-6mol/m2/s値が示されている。2.鉱物-水反応試験による反応速度データの取得(1)黄鉄鉱還元雰囲気及び大気平衡状態の蒸留水中における黄鉄鉱の溶解速度を測定した。Linらの式に従って、大気平衡の蒸留水中での溶解速度定数kを評価した結果、10-410-3(cm3・mol-1)1/2・h-1と評価された。(2)緑泥石蒸留水中での緑泥石の溶解速度を測定した。溶解は放物線溶出反応にあることが確認された。Rossらの式に従って、溶解速度定数kを評価した結果、10-1510-14の範囲であった。2=kt(:溶解した鉱物量と初期存在量の比、t:時間)
田中 晧*
PNC TJ1211 95-006, 72 Pages, 1995/02
地下水生成モデルの研究において必要な鉱物の溶解速度について研究を行った。成果概要を以下にまとめる。1.鉱物の溶解速度データの調査溶解速度データが整備されていない黄鉄鉱、緑泥石、緑簾石、菱鉄鉱の4種類の鉱物についてDIALOGによる文献調査を実施した。成果の概要を以下にまとめる。(1)黄鉄鉱Linらにより、酸素濃度による反応速度定数kが定義されている。1-(1-x)1/3=k[O2]1/2・t(x:反応したFeSのモル数、[O2]:溶存酸素酸素濃度、t:時間)また、その温度依存性についてk-=2.2109exp(-9140/T)を示している。pHによる影響についてはCiminelliらにより、溶解中性アルカリ性で黄鉄鉱の溶解速度はpHとほぼ線型に増加することが示されている。(2)緑泥石Swoboda-Colbergらにより、2.76.710-12mol/m2/s(pH34.5)の値が示されている。また、Rossらにより溶解反応のメカニズムは拡散律速であり、陽イオンの溶解量に化学量論的な関係があることが示されている。(3)緑簾石Roseにより、pH111において10-1410-13mol/cm2/sの値が示されている。(4)菱鉄鉱Greenbergらにより、脱酸素水中において9.9310-6mol/m2/s値が示されている。2.鉱物-水反応試験による反応速度データの取得(1)黄鉄鉱還元雰囲気及び大気平衡状態の蒸留水中における黄鉄鉱の溶解速度を測定した。Linらの式に従って、大気平衡の蒸留水中での溶解速度定数kを評価した結果、10-410-3(cm3・mol-1)1/2・h-1と評価された。(2)緑泥石蒸留水中での緑泥石の溶解速度を測定した。溶解は放物線溶出反応にあることが確認された。Rossらの式に従って、溶解速度定数kを評価した結果、10-1510-14の範囲であった。2=kt(:溶解した鉱物量と初期存在量の比、t:時間)